アイルランドの妖精は、群れをなして暮らすものと単独で暮らすものと大きく2種類にわけることができます。群れで暮らす妖精は丘や海に住み、大きさもさまざま。概して陽気で穏和な性質です。しかし単独で暮らす妖精は気難しく、人間に対し悪意があったり気味の悪い姿であったり恐ろしい性質のものも多く存在します。


アイルランドの妖精一覧




群れを作って暮らす妖精たち(The Sociable Fairies)

シーオーク(The Sheoques)
神聖なイバラの茂みや緑の丘や土砦に住む妖精たち。月の美しい夜には草原で歌ったり踊ったり、また人間を妖精の宮殿に誘い込んだりする。シーオークは概して善良な妖精たちであるが、最もたちのわるい、人間の子供をさらい、代わりに皺だらけの妖精の子を置いていく取り替え子をすることがある。


メロー(The Merrows)
人魚をアイルランドではメローと呼ぶ。女のメローは美しく、角のない小さな牛の姿をして流れるような長い髪に白い腕と魚の尻尾をもつ。海の底に家があり、陸に上がり人間の姿をして現われる時にはコホリーン・ドルゥーと呼ばれる赤い羽の帽子をかぶっている。もしその帽子を失うと、海には戻れなくなる。メローは他のマーメイドと同じように嵐の前兆として現われる。根は親切でしばしば人間の漁師に恋をする。男のメローは非常に醜く、緑の歯と緑の髪の毛、目は豚のように小さく、鼻はとがって赤い。しかし性格は一般に陽気で愛きょうがあり、時折海からあがって牛の姿になり海辺を歩き回ることがある。


セルキー/ローン(Selkies/Roane)
セルキーはスコットランドのオークニー諸島やシェットランド諸島の近くの海に住むといわれている。アイルランドではセルキーまたはローンという。大型のアザラシは、妖精が水の中を移動するためにアザラシの毛皮をまとっている姿と考えられている。アザラシの皮を脱ぎ美しい人間の姿になって陸にあがってくることがあり、特に女のセルキーは、もし人間がこの毛皮を持ち去ると、とらわれの身同然となってその人間の妻になるのである。良い妻良い母となるが、自分の毛皮を見つけるとすぐにもとの海の住み家へと帰って行ってしまう。男のセルキーはアザラシの乱獲に対し復習のため嵐を起こし船を転覆させたりする。




ひとりで暮らす妖精たち(The Solitary Fairies)

レプラコーン(The Leprechaun)
妖精の靴屋。垣根の下に座って靴を直している姿がよく目撃されている。7つずつ二列に並んだボタンの付いた緑の上着、赤い三角帽子に白いフクロウの羽根を付けている。時おりその帽子の先を軸にしてこまのようにくるくる回っていることがある。偏屈なところもあるが、ふだんは陽気で働き者の小人。レプラコーンはなかなかの倹約家で財産をため込んでいるので、もしレプラコーンをつかまえられれば、宝のありかを聞き出すことができると言われているがそれはかなり難しい。宝ものを隠してある場所までレプラコーンを運んで行く途中に一瞬でも目をはなしてしまうとまるで水滴のように手からすりぬけてしまい、二度とみつからなくなってしまうのである。


クルーラコーン(The Cluracan)
酒蔵の番人。地下室の酒蔵にこっそり侵入して酒を飲む。羊や番犬の背中に乗って一晩中野原を走りまわり翌朝には泥まみれの羊や犬とともに草の中に息を切らして倒れているクルーラコーンが見つかると言われている。
召使が酒蔵に忍び込んで酒を飲んでいるときにいつのまにかひとり増えているとクルーラコーンが混ざっていたりする。また知らない間にワインの樽がからっぽになっていたらクルーラコーンの仕業だと言う。
また、クルーラコーンはレプラコーンの別の呼び名だとも考えられ、一日の仕事の終わりに酒を飲んで浮かれ歩くときにその名前で呼ばれるのだともいわれている。


ガンコナー(The Ganconer)
愛を語る妖精。ガンコナーはとてつもない怠け者で、もの淋しい谷間にいつもパイプを口にくわえて現われ、羊飼いの娘や、乳しぼりの娘に言いよって時をすごす。


ファー・ダリグ(The Fear Darrig)
ファー・ダリグは外見はねずみのようで古くぼろぼろに破れた服を着て、太って醜い妖精である。ファー・ダリグはフォモール族から派生した種族といわれ海岸のそばの洞穴や湿地を住みかにしている。腐ったものを食べ、たちの悪い冗談を言って楽しんだり、悪夢に登場する。


プーカ(The Phooka)
アイルランドに住むゴブリン族の妖精で普段は馬や牝牛、山羊、鷲の姿で現われる。真っ黒で炎のように光る目をしている。人間にいたずらをすることがあり、真夜中に馬の姿をして親切に旅人に声をかけ、旅人を背に乗せると、荒々しく堀や川を横切り山々を越えて疾走し、一晩中走り回ったあげく旅人を頭からまっさかさまにふるい落とす。そしてプーカは夜明けの薄やみの中、高笑いをして意気揚々と去っていく。とりわけ酔っぱらいにいたずらすることが大好きだ。
晴れているのに雨が降ったりするのはその夜プーカが出てくるというしるし。またプーカは自分に親切にしてくれた人にはそのお返しに仕事を手伝ったりもする。


ドゥラハン(The Dullahan)
最も気味の悪い妖精。首がないか、または首を腕に抱えている。しばしばコシュタ・バワーと呼ばれる首のない馬に引かれた黒い馬車を走らせている姿で現われる。馬車はがらがらと走って家の戸口まで行き、そしてもし家の人が戸を開けてしまうと、バケツいっぱいの血を顔に浴びせかけられてしまう。この馬車はその前に止まる家に死人が出ることを予言している。


リャナン・シー(Leanhaun Shee)
人間の男の愛を永遠に探し求める妖精。もし男が拒めばリャナン・シーは奴隷のようにかしずき、もし男が受け入れればその人はリャナン・シーのものとなり、その人の代わりとなる別の男が見つかるまで彼女から逃れられず、やがて弱り衰えていく。リャナン・シーは恋人の命を吸い取ることで生きているので、しばしば吸血鬼と表現される。
ほとんどのアイルランドの詩人はリャナン・シーに心を奪われていたといわれている。リャナン・シーは自分の虜になったものに霊感をあたえるというゲールの詩神で、ひとたびリャナン・シーの魅力にとりつかれれば、詩人は思いこがれ、すばらしい詩的直感力を得るのである。これは全人生の創造力を短期間に燃焼させるからである。そのためリャナン・シーの恋人である詩人たちは年若くして死ぬ。


ファー・ゴルタ(The Fear Gorta)
これは飢饉の時に、国じゅうをめぐり歩きながらもの乞いをし、そして食べ物を恵んでくれた人に幸運をもたらした。痩せ衰えた妖精である。


バンシー(Banshee)
ゲール語でバンは女、シーは土塚や丘。バンシーは“丘に住む女の妖精”で妖精の女王である。死の予言者、バンシーはアイルランドの由緒ある家族に死人がでたとき、その死を悼んですすり泣くと言われる。緑の服の上に灰色のマントを着た髪の長い美しい乙女であったり、また醜い老婆の姿であるという説もある。偉大な人が死ぬときにはおおぜいのバンシーの泣く声が夜空に響くと言われている。


フィンヴァラ(Finvarra)
ディーナ・シーの上王で、死者の世界を支配する王。全身黒ずくめで威厳あるりっぱな紳士。アルスターの妖精王でノックマの丘の宮殿に住む。





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