行政書士 中村としみ事務所
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法定相続人の順位と法定相続分(割合)

※本ページは、当事務所執筆の専門冊子『想いをつなぐ相続と遺言』の8〜11ページの内容を統合してWeb公開したものです。

1. 法定相続人と相続の順位の基本

ご家族が亡くなられたとき、その財産を「だれが」「どのように」受け継ぐかについては、民法という法律で基本的なルールが定められています。この法律では、財産を受け取る権利のある人を「法定相続人」といい、その分け方のおおまかな基準を「法定相続分」と呼びます。この相続分の割合は、相続人となる方の続柄や人数によって異なります。法定相続人には、大きく分けて「配偶者」と「血縁のある親族」が含まれます。
配偶者はどのような場合でも常に相続人となりますが、血縁者の相続権は、関係の近さに応じて優先順位があり、次のような順序で定められています。

  • ・第1順位(直系卑属:子・孫)
  • ・第2順位(直系尊属:父母・祖父母)
  • ・第3順位(傍系血族:兄弟姉妹)

【全体相関図】法定相続人の優先順位の一覧

法定相続人と相続の順位 全体図

※配偶者はどの順位においても常に相続人となります。

2. ケース別にみる法定相続分と相続権

法律で定められた財産の分配割合(法定相続分)について、相続人の組み合わせごとの具体的なルールを見ていきます。

◆ 第1順位の基本:配偶者と子が相続する場合

被相続人の子や孫など、後の世代にあたる親族は「直系卑属」といいます。相続順位の第1順位は、被相続人の子です。配偶者は順位に関係なく常に相続人となります。

<法定相続分の基準>
・配偶者:遺産の2分の1
・子:残りの2分の1を、子の人数で均等に分ける

<子が2人なら各4分の1、子が3人なら各6分の1、子が4人なら各8分の1>

※配偶者がすでに亡くなっている場合は、子が相続財産を人数で均等に分けます。

【例】右の図では、妻と子2人が相続人となるケースを示しています。妻は遺産の2分の1を相続し、残りの2分の1を長男と長女で均等に分けるため、それぞれ4分の1ずつ相続します。

第1順位の基本 法定相続分

◆ 第1順位の応用:子が先に亡くなっている場合(代襲相続)

もし被相続人の子がすでに亡くなっている場合は、その子(被相続人の孫)が代わりに相続します。これを「代襲相続」といいます。
代襲相続が発生した場合は、孫が、もともとの子が受け取るはずだった相続分(4分の1)を、人数で等しく分けます。

<法定相続分の基準>
・配偶者:遺産の2分の1
・子:残りの2分の1を、子の人数で均等に分ける
・亡くなった子の取り分は、その子の子(孫)が人数で均等に分ける

※配偶者がすでに亡くなっている場合は、子や代襲相続人が割合に応じて分けます。

【例】右の図では、亡くなった長女に2人の子供(孫A・孫B)がいる場合、長女の取り分であった4分の1を2人で分け、孫Aが8分の1、孫Bが8分の1ずつを相続します。

代襲相続の解説図

◆ 第2順位:配偶者と直系尊属(父母)が相続する場合

被相続人の父母や祖父母など、親の世代にあたる親族は「直系尊属(ちょっけいそんぞく)」といいます。 被相続人に子や孫などの第1順位の相続人がいない場合には、第2順位である「直系尊属(父母や祖父母)」が相続人となります。

<法定相続分の基準>
・配偶者:遺産の3分の2
・父母:残りの3分の1を父母で均等に分ける

※配偶者がすでに亡くなっている場合は、父母がすべてを相続します。

【例】右の図では、妻と亡き夫の両親が相続人となるケースを示しています。妻は遺産の3分の2を相続し、残りの3分の1を両親が均等に相続します。父母がともに健在なら6分の1ずつ、片方のみ健在ならその親が3分の1をすべて相続します。

第2順位の法定相続分

◆ 第3順位:配偶者と傍系血族(兄弟姉妹)が相続する場合

被相続人の兄弟姉妹など、横のつながりにあたる親族は「傍系血族(ぼうけいけつぞく)」といいます。 第1順位(子・孫)、第2順位(父母・祖父母)がだれもいない場合、第3順位である「兄弟姉妹」が相続人となります。

<法定相続分の基準>
・配偶者:遺産の4分の3
・兄弟姉妹:残りの4分の1を兄弟姉妹で均等に分ける

※配偶者がすでに亡くなっている場合は、兄弟姉妹がすべてを相続します。

【例】右の図では、妻と亡き夫の姉が相続人となるケースを示しています。

 

【注意】兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子(甥・姪)が代襲相続します。※兄弟姉妹の代襲は1代限りです。

第3順位の法定相続分

3. 離婚・再婚における相続権

◆ 離婚した前妻との間に子がいる場合

被相続人が離婚した元配偶者(前妻など)には相続権はありません。一方で、前妻との間の子(実子)には、再婚した現在の妻との間の子と完全に同じ相続権があります。たとえ離婚後に疎遠になって別々に暮らしていても、実子である以上、第1順位としての権利や法定相続分の割合が減ることはありません。

<法定相続分の基準>
・配偶者:遺産の2分の1
・子(元配偶者との子を含む):残りの2分の1を子の人数で均等に分ける

【例】右の図では、妻は遺産の2分の1を相続し、残りの2分の1を長男、長女、前妻の子で均等に分けるため、それぞれ6分の1ずつ相続します。

【注意】前妻との子にも実子である以上、法定相続権があります。
相続させたくない場合は遺言書の作成を検討しましょう。
ただし、子には遺留分がありますので注意が必要です。

離婚・前妻の子の相続権解説図

◆ 再婚相手の連れ子(継子)は相続人になる?

再婚相手の連れ子(継子)は、血縁関係がないため、そのままでは法定相続人にはなることはできません。連れ子に財産を引き継がせたい(実子と同じ4分の1の権利を持たせたい)場合は、生前に法律上の親子関係を結ぶ「養子縁組」の手続きを行う必要があります。養子縁組をしない場合は、遺言書を遺す(受遺者にする)などの対策が必要です。

<法定相続分の基準>
・配偶者:遺産の2分の1
・子(養子を含む):残りの2分の1を人数で均等に分ける

【例】右の図では、妻は遺産の2分の1を相続し、残りの2分の1を長男、長女、養子で均等に分けるため、それぞれ6分の1ずつ相続します。

【注意1】養子縁組をしない場合
たとえ養子にしていなくても、遺言書を作成すれば財産を遺すことは可能です。この場合は法定相続人ではなく、「受遺者(じゅいしゃ)」として、遺言書にもとづき財産を受け取ることになります。

【注意2】再婚相手と養子縁組をした場合でも、子は元配偶者の相続人としての権利を失うことはありません。

再婚と継子の相続権解説図

4. 法定相続分 早見表

ここまでの関係性と割合を一覧にまとめた早見表です。ご自身の状況に合わせてご確認ください。

法定相続人 配偶者(常に相続人) 子(第1順位) 親(第2順位) 兄弟姉妹(第3順位)
配偶者・子 1 / 2 1 / 2
配偶者・親 2 / 3 1 / 3
配偶者・兄弟姉妹 3 / 4 1 / 4
配偶者のみ 1
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