行政書士 中村としみ事務所
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WITH A WILL

遺言書がある場合の相続手続き

※本ページは、当事務所執筆の専門冊子『想いをつなぐ相続と遺言』の12ページの内容をWeb公開したものです。

1. 遺言書に沿った手続き

被相続人が遺言書を遺していた場合は、原則としてその内容に従って相続を進めます。公正証書遺言や、自筆証書遺言書保管制度を利用して作成された遺言書は、家庭裁判所による検認が不要なため、すぐに遺言書に沿った手続きを始めることができます。遺言書に「遺言執行者」が指定されている場合は、その人が就任を承諾すれば、預貯金の払い戻しや不動産の名義変更など、遺言書の内容に基づいた実務的な手続きを進めていくことになります。一方、自宅などで保管されていた自筆の遺言書については、まず家庭裁判所で検認を受け、遺言書が真正なものであるかを確認します。

/ 遺言書があるときの手続きの流れ

  • 遺言書の種類の確認(自筆証書か公正証書かなど)
  • 遺言執行者の就任または選任
  • 財産の確認と目録の作成
  • 遺言書の内容の実行
💡 終活ノートやビデオレターは遺言書になる? 想いを伝える手段として、終活ノートやビデオレターはとても大切な役割を果たします。でも、残念ながら法的な要件を満たしていないと、正式な遺言書としては認められません。財産のことなど、きちんと伝えておきたい内容がある場合は、やはり正式な遺言書の作成が必要です。

2. 遺言執行者(いごんしっこうしゃ)の役割

遺言執行者とは、遺言書に記された内容を実現する役割を担う人のことです。遺言書に沿って、財産の管理や分配、各種名義変更手続きなどを行います。

  • 現金や預貯金、不動産、有価証券などを調査・確認し、一覧表(財産目録)としてまとめます。
  • 銀行や信用金庫などの金融機関で手続きを行い、預貯金を払い戻して、遺言書に従って分配します。
  • 不動産が遺産に含まれている場合は、遺言書の指定に従って名義変更を行います。
  • その他、遺言書の内容を実現するために必要な手続き全般を行います。

◆ 遺言執行者を選任しておいたほうがよい場合

  • 家族間の関係が複雑な場合や、過去に相続をめぐってもめた経験がある。
  • 共有名義の不動産や事業資産などの財産の内容が複雑で、相続手続きがスムーズに進みにくいとき。
  • 遺言書に「特定遺贈」や「子の認知」「相続人の廃除」などが記されている場合は、手続きが煩雑なため遺言執行者が選任されていなければ、これらの内容を実行に移すことができない場合もあります。

◆ 遺言執行者の選任と就任について

  • 遺言書で指定された人であっても、ご本人の意思によって就任を辞退することが可能です。
  • 遺言書に執行者の指定がない場合は、相続人の申立てにより、家庭裁判所が選任することができます。
  • 遺言執行者には、相続人や親族を指名することも可能です。ただし、相続手続きを円滑に進めるためには、弁護士・司法書士・行政書士など、専門家に依頼するのが安心です。

3. 遺言書と異なる遺産分割について

💡 遺言書があっても相続人全員の合意があれば、遺言書とは異なる遺産分割は可能です

遺言書がある場合は、原則としてその内容に沿って遺産を分けることになります。ただし、遺言書の作成から時間が経過し、たとえば、遺言書に記された財産がすでに処分されていたり、相続人のひとりが亡くなっているなど、財産や相続人の状況が変わっていたり、資産の評価額が大きく変動している場合、または内容があいまいでお解釈に幅があるようなときは、遺言書のままでは実情に合わないこともあります。

このような場合や、公平性・遺留分への配慮が求められるときには、相続人全員と受遺者(相続人以外で財産を受け取る人)など、関係者全員が合意すれば、遺言書と異なる分け方をすることも可能です。その際は、合意した内容を遺産分割協議書として書面にまとめ、相続人と受遺者の全員が署名し、実印を押すことで正式な書類とします。ただし、遺言書に「遺言書どおりに分けること」など、強い意思が記されている場合は、その記載に従わなければなりません。

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